カクダイ製菓様インタビュー



 「本日は、私たちが日頃から親しんでいるラムネのことについて、色々と教えて頂けましたらと思って参りました。どうぞ、よろしくお願いいたします。 それでは早速、お話をお伺いさせて頂きたいのですが、カクダイ製菓様といえばクッピーラムネというイメージで、 だから、お伺いした時にちょっとビックリいたしました。元々は“大橋商店”様という和菓子屋さんだったということで。 その和菓子屋さんを前身とされて、羊羹や飴などの製造をされて来た御社が、ラムネ菓子に着手されたきっかけといいますか、経緯というのは何だったのでしょうか?」

阿部本部長様(以下“本部長”と省略させて頂きます) 阿部本部長様(以下“本部長”と省略させて頂きます) 「それは、うちの二代目社長がラムネ菓子の会社につとめていて、戦後、独立して始めたわけです。 その頃は、ラムネに菓子としての知名度がなくて、駄菓子屋さんで引くクジなどのハズレ景品として扱われているような商品だったのですよ。 そこを先代が色々工夫して、ラムネ菓子として確立したのです。」

「ラムネ菓子というのは、昔から日本にあったお菓子ではないと思うのですが、いつごろ、どこから入って来たものなのでしょうか?」

本部長「先ほどの、二代目社長がつとめていた会社。現在は営業されていないようです。 そこは戦前から営業されていたようですが、どこから入ってきたのかは分からないですね。」

「先代社長様がラムネ菓子の製造を始められて以来、ラムネ菓子一筋でされて来たということは、和菓子部門はその時点でやめられたというわけですね。 ところで、ドリンクのラムネとラムネ菓子の名前が同じなのは、何か関係があるのでしょうか?」

本部長「それはちょっと分からないですねえ」

「ただ、どこかの会社が“ラムネ”という商標を持っているわけではないのですね」

本部長「チョコレート等と同じで、一般名詞ですね」

「私が小さい頃から、御社のマスコットキャラクターというのは変わらないのですが、そこに至るまでには様々な試行錯誤がありましたか?」

本部長「あの、工場にあった小さいラムネ。 あれを小袋に入れて、最初“ビンズラムネ”という商品名で出していました。 ラムネ菓子を一つの商品として認知してもらうためのイメージとして、あのキャラクターが生まれてきたのですヨ。」

「駄菓子の景品から、ラムネ菓子というものが確立する時のお話ですね」

本部長「クッピー以外にも、先程工場で見て頂いたラムネを5粒ヒネリ包装された商品が昔は1ヒネリ1円で又小袋は5円で売っていました。」

「そう言えば、先ほど見せて頂いた時に感じたのですが、工場はかなり作業がオートメーション化されていますね。 現在の設備になられたのは、何年くらい前からのことなのでしょうか?」

本部長「包装設備に関してはおよそ15年くらい前でしょうか。 設備をオートメーション化したことで、グラムのばらつきが減りました。それまでは、まあ手作業が多かったですから。 分子の細かい粉末は計りやすいのですが、ラムネ菓子は計りにくかったです。」

「それでは話題を変えさせて頂きまして、二年くらい前の冬に、 たまたま見かけたフリーペーパーに御社の副社長様のインタビュー記事がありまして、 その中にとても興味深いお話があって記憶にとどめていたことがあるのです。 御社のラムネ菓子を、確か大阪だったと思うのですが、関西の方にウィスキーのおつまみとして出荷されているというお話だったのですが」

本部長「飲み屋さんのおつまみで、あられとか豆類と一緒に、関西地区ではうちのラムネ菓子が多く出ています。」

「御社は中部に本社を置いて営業されているのに、おつまみとしてのラムネ菓子は関西で出ているというのは面白いですね」

本部長本部長「それは、ウィスキーにラムネ菓子をおつまみとして食べるとフィットすると言うことです。 私はあまりお酒を飲まないから分からないのですが。名古屋でも一部出ているところがありますね」

「実際、1軒だけですけど、私も出された経験があります。その時は、ちょっと、“おっ、変わったおつまみを出すな”と思いました。 それでは、関西・中部以外の地域、例えば関東なんかではどうですか?」

本部長「関西ではラムネも菓子という感じですが、関東では駄菓子というイメージがありますから。 それをチャーム(おつまみ)に出すと、店のイメージにも響きますし。」

「でも、先ほど工場で見させて頂きました大きいラムネは、駄菓子っていう感じがしないと思うのですが」

本部長「あの大きいラムネなんかは、ゲームセンターのクレーンゲームの景品として多く出ていますね。 名古屋でゲームセンターにああゆう景品を卸している会社があって、そちらの方で」

「先ほどのお話に戻りますが、ラムネをおつまみにというのは御社の中からの発案だったのでしょうか?」

本部長「関西の問屋さんが新販路の開拓として「おつまみ」として提案しその後反響があったのです」

「それで結果的には関西の方であたったと」

本部長「そうですね、そちらに多く出ていますね。 それと、また別の方面では、今、カクダイ商事が海外への輸出を行っていて、香港、それから中国本土、台湾、韓国など、アジアの国々へ」

「今、お話に出たアジアの国々では、日本と比べてどういったお菓子が好まれているのでしょうか?」

本部長「本部長「日本のお菓子はおいしく、安全で、パッケージが良いとことで国際競争力があります。 最近では、海外のお菓子のレベルが上がってきて、おいしくて安いということで良い競争相手になってきています。 ご存知のように国内でも輸入菓子が増えてきていますよ。ただ、気をつけなければならないのは、日本と海外の国々とでは、衛生法の基準が違う場合がありますから」

「香料の問題とかですね」

本部長「海外では許可されていても、日本では許可されていないとか。 日本で許可されていても、海外では許可されていないとか。輸出・輸入の際にはその辺を把握しておかないと問題がありますね」

「御社が輸出されるラムネ菓子というのは、そういった東アジアの国々では元々生産していないというか、流通していないものだったのでしょうか?」

本部長「ないですねえ。だから、当社が持っていって、よくあるのは、薬と間違われることも。 錠剤みたいだと。そういう点では、まだまだ浸透度が、という部分は感じています」

「先ほどの工場見学の時にもお話に出ましたが、基本的に御社の主力商品はラムネ菓子一筋でやられているということで、 対象となるユーザーとしては大人から子供まで幅広くいらっしゃると思うのですけれども、主な消費者層と申しますと、 特に低年齢の子供さんということになると思います」

本部長「はい、そうですね」

「そこで、メインターゲットである子供さんに対しての御社のお考えですとか、取り組み方などについてお伺いさせて頂きたいのですが」

本部長「まず、ビタミンC、カルシウムとか、あるいはオリゴ糖などの機能性を持たせたお菓子の開発がテーマです。」

「なるほど。確かにラムネ菓子は口の中で溶けますから、歯の弱くなったお年寄りの方でも安心して食べられますね」

本部長「それから、30代、40代のお母さん方も。 自分が小さい頃食べたっていう記憶があって、その懐かしさから、子供にも食べさせてみようとか」

「あの、先ほど工場の方で見させて頂きましたラムネ菓子の中にも、カルシウムに特化した商品がありましたが、 そちらなどは他のラムネ菓子よりも栄養補助を意識されているということでしょうか?」

本部長「基本的にお菓子は美味しくなければいけません。プラス機能性です。」

「そういった意味では、トータル的に、先ほど仰っておられたビタミンCなどの栄養補助を考えておられるということですね」

本部長「現代社会の中で、栄養補助というより、機能性を念頭においております。」

「例えば、特定健康食品(※1)とか、機能性食品(※2)とかですか?」

本部長「まあ、そこまではいっていないのですが、おやつというか嗜好品の中でも 消費者は「美味しさ」だけではなく「プラス機能性」を求めています。実際そういう商品が良く売れています。」

「小さい子供さんにも、食べやすい形で補給して頂くと言うことですね。 確かに、小さなお子さんなどには、やはり甘い味のものが好まれるとは思いますが、現代では、自販機のお茶が流行しています。 甘いもの以外が好まれるのが一つの流れかなという感じがあると思います。 その中で、御社製品のラムネ菓子というのは基本的に甘いものですけれども、もう少しビターな味のラムネ菓子を開発とかそういったお考えは?」

本部長「ラムネ菓子は甘いだけというよりも酸っぱさがあるから、 甘酸っぱいという感じだし、砂糖の甘みというと嫌われるけど、小さい子は激しく動くから、糖分補給は必要ですね。 それと、甘いお菓子については小さい子が虫歯になるというイメージがあるけれども、 それと、甘いお菓子については小さい子が虫歯になるというイメージがありますが、 ラムネ菓子で虫歯というイメージはありません。」

「そう言えば、歯の生え揃っていないお子さんでも、ラムネ菓子だったら溶けるから食べられますよね」

本部長「ベビー食が食べられるぐらいだったら大丈夫ですね」

「それでは最後の質問とさせて頂きたいのですが、今までラムネ菓子中心に開発製造をされてきた御社は、 今後ともラムネ菓子の味を守り続けていかれるご方針なのでしょうか?」

本部長「それはラムネ菓子を柱として、それ以外にも第2第3のものを考えなければならないのですが、 それをどういう商品にすれば良いのかというのが難しい問題です」

「では、模索はしていらっしゃるけれども、ということですね」

本部長「そうですね。消費者に好まれる商品を今後も開発していかなければならないと思います。従来の商品以外の売れ筋を考えて、 新たな自社のブランドとしたいという思いはあります」

「本日は、貴重なお時間を頂戴いたしまして、興味深いお話の数々をお伺いさせて頂きました上に、 工場で実際にラムネ菓子を製造する過程を見学させて頂きまして、非常に勉強になりました。本当にありがとうございます」

※ 1.特定健康食品とは、「身体の調子を整える」などのはたらきがある成分(=「関与する成分」)を加工した食品で、 効果や安全性が動物やヒトなどへの試験で科学的に証明され、健康表示(健康への効用を示す表現)を厚生労働大臣が許可した食品のことです。

※ 2.機能性食品とは、「生理系統(免疫、分泌、神経、循環、消化)の調節によって病気の予防に寄与する新食品」であり、 いわゆる「医食同源」の考えによっています。厚生労働省は平成13年4月、健康食品のうち、 一定の条件を満たすものを「保健機能食品」と称して販売を認める制度を作りました。これが一般に機能性食品といわれるものです。



カクダイ製菓様インタビュー後の感想:
突然のお願いにもかかわらず、快くインタビューに応じてくださった阿部本部長様、本当にありがとうございました。 気さくなお話ぶりの中からでも、ラムネ菓子作りにかける情熱がひしひしと伝わってきました。 子供の頃に食べたクッピーラムネの味は、やっぱり忘れられませんね。皆さんもおやつにクッピーラムネ、いかがですか?



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